ニューサマーオレンジの自家製天然酵母による「カンパーニュ」の開発・販売

経営革新計画の概要

当店は、東伊豆町奈良本に拠点を置き、2014年より無添加・手作りにこだわったパンと焼き菓子の製造・販売を行っている。創業以来、「安心・安全で素材の味が生きたパンづくり」を理念とし、保存料・着色料を一切使用せず、地元の子育て世代や観光客からの支持を得ている。現在は、町内の観光拠点である稲取漁港直売所「こらっしぇ」内の常設売場を主な販売拠点としており、観光客を中心に着実な販売実績を築いている。当店の強みは、少量多品種生産による柔軟な商品開発と、店主の製パン技術を活かした独自のレシピにある。全粒粉やライ麦、国産小麦を用いたハード系パンや、子供にも安心して提供できるソフトパンなど、多様なニーズに応じた商品づくりが可能である点もあげられる。また、近年では地元産素材を用いた試作にも取り組んでおり、地域資源を活用した製品開発への意欲も高い。
今回の経営革新計画では、東伊豆町の特産品であるニューサマーオレンジを活用し、果実から自家製の天然酵母を育成する技術を確立することで、当該酵母を用いた「カンパーニュ」の開発・販売に取り組む。素材本来の風味を活かしたパンづくりにより、他店との差別化と地域資源の価値向上を目指す。具体的には、果実の状態や仕込み配合、発酵温度・湿度を変えた複数の試験を行い、理想的な酵母抽出を図るため、得られた酵母を三段階に分けて育成し、強い発酵力と安定した膨らみを持つ生地が得られるように設計する。ニューサマーオレンジの果皮や果肉を使用した天然酵母は、特有の香りと酸味を持ち、爽やかで香味豊かなパンの焼成が可能となる。今後は、SNSやふるさと納税、直売所等を通じた販路の確保により、通年での製造・販売体制を構築していく。本取組みにより、地域資源を活用した新たな商品開発を通じて、ブランド力と収益基盤の強化を図り、当店の意経営革新を実現していく。